かゆいところに手が届く研究会をめざして

このたび、鈴木前幹事長の後を受けて幹事長に就任いたしました住友ファーマ(株)の宮脇 出です。

先日の夏の教育フォーラムは第30回の記念大会となり、安全性評価研究会の礎を築いて下さった松本先生、野村先生、ならびに大野先生のインタビューをビデオレターという形で皆様にお届けすることができました。元々は毒性学会のワークショップの発表メンバー数人でスタートした勉強会が“Give & Take”の精神をモットーに他では類をみない独創的な研究会として、およそ300人の会員数を擁し長きにわたり継続してきました。このような歴史ある会を今後も維持し、発展させるべく牽引していくことに非常に責任を感じている次第でございます。一方、この30年の間には、医薬品業界のみならず安全性研究者を取り巻く環境として、グローバル化、規制の強化、社内研究体制・人員の縮小、動物倫理問題、オープンイノベーションの常態化、キャリアパスの変化等、様々な変遷がございました。さらに、ここ数年のCOVID-19の大流行やロシアーウクライナ紛争等、世界規模での問題は我々の生活や働き方だけでなく、研究現場にも大きな影響を及ぼしています。このような大きな変化のうねりの中、我々としても、これまでの歴史・伝統と新たな現実との間にあって、研究会のあるべき姿について、あらためて考える時期に来ているのではないかと思っています。

新たな安全性評価研究会は、サイエンスとレギュラトリーの両面からの話題提供、情報発信のみならず、研究現場だけではカバーできない諸問題も取り上げ、“かゆいところに手が届く研究会”としてしっかりと役割を果たしていきたいと思っています。さらに、評価対象や評価技術に関する多様な専門性を持った研究者が有機的につながることで、それぞれの目的の達成に活用できるプラットホームにもなりたいと思っています。そのためにはまず、先達の導いてくれたたくさんの大切なもの(理念)を守りつつ、新たな形への変化も恐れない骨太の運営により持続可能な会へと発展させていく所存でございます。

本安全性評価研究会は、皆様とともに歩んで参りますので、今後とも安全性評価研究会への積極的なご参加、ご支援、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2022年11月1日

住友ファーマ株式会社 宮脇 出